【年5回有休消化取得義務化】企業が取るべき対策とは?

全ての労働者に5日間の有給休暇取得義務化

働き方改革の関連法成立に伴い、2019年4月1日から年間10日間以上の有給休暇がある全ての労働者は、会社側が最低5日は有給休暇を消化させなければならない、いわゆる「有給休暇の義務化」がスタートします。
(参考URL: https://www.mhlw.go.jp/content/000463186.pdf)

この5日間の有給休暇を取得させるため、企業の取るべき対策は現在、大きく分けて、「個別指定方式」「計画的付与制度」の二種類あると言われています。

今回はこの二つの方法と義務化に至った経緯について、説明いたします。

有給休暇取得、なぜ義務化?

なぜ「有給休暇義務化」が始まったのでしょうか。その経緯を説明します。

厚生労働省『賃金労働時間制度等総合調査』、あるいは『就労条件総合調査』のデータによると、2018年度の年次有給休暇取得状況は51.1%でした。しかし、世界的基準に合わせると、100%のブラジル、フランス、スペイン、オーストリアの半分でしかありません。そこで、政府は2020年までにこの割合を70%にまで引き上げることを目標に掲げました。

しかし一方で、労働者側の意見としては、厚生労働省の資料によると、「(休暇を取ることへの)ためらい」が原因となって、有給休暇を取得しにくいという環境にあります。そこで、政府としてはある意味、強制的に労働者に対して有給休暇を取得させて、リフレッシュを図る考えを示し、今回の「義務化」に踏み切っています。

では、一体、この「義務化」の対象は誰なのでしょうか。『労働基準法』第三十九条には「その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」とその要件が明記されています。

この要件には正社員(入社後6カ月経過)だけではなく、契約社員、パート、アルバイトも含まれます。(※出勤率が8割以上の人)

  • 入社後6カ月経過している正社員、あるいは契約社員
  • 入社後6カ月経過している週30時間以上勤務のパート・アルバイト
  • 入社後3年半以上経過している週4日出勤のパート・アルバイト
  • 入社後5年半以上経過している週3日出勤のパート・アルバイト
  • 企業としてどうしていくべきか

    では、企業としてどのように対応していけばいいのでしょうか。先ほども申し上げましたが、大きく分けて、「個別指定方式」と「計画的付与制度」の二種類あります。

  • 個別指定方式
  • 労働者ごとに有給休暇取得日数を調査。取得日数が5日に満たない労働者に対して、アラームを鳴らして、本人の意向もヒアリングしながら会社が有給休暇取得日を指定していく方式。本人の意向に即した休日が取得できる半面、会社として一人ひとりの労務管理を行わなければならず、非常に手間がかかります。

  • 計画的付与制度
  • 労使協定により、有給休暇の内、5日を超える部分についてを予め日にちを決めておく制度です。例えば、全社一斉休業、部署ごと、あるいは個々人で有給休暇を割り当てることが可能です。

    「個別指定方式」とは異なり、個別対応という手間が省ける点と取得促進を行わなくても良いことがメリットとしてあります。しかしデメリットとしては、労使協定なので会社都合で取得日の変更ができないという点があります。

    これらシステムを踏まえると、有給休暇取得率があまり良くない企業では「計画的付与制度」にして、他の社員への「気兼ね・ためらい」なく有給休暇を取得できる方が適しているかと思われます。

    有給休暇を取得させなかった場合はどうなる?

    労働者に休暇を与えることは非常に大切なことですが、会社側から見た場合、特に人手不足が深刻な会社では、仕事が円滑に進まないことも考えられます。

    仮に有給休暇を取得させなかった場合、雇用主は30万円以下の罰金が課せられます。ちなみに労働者一人に対して、罪が成立しますので、10人に対して違反があれば、単純計算で最大300万円という計算になります。

    また、現状、休暇となっている日(例えば、夏季休暇や年末年始休暇)などを労働日に変更し、有給休暇を充てるという方法です。これは「労働条件の不利益変更」に当たります。

    モーレツからバランスへ

    1960年代後半から70年代前半にかけて、日本が高度経済成長期をひた走っている頃、「モーレツ社員」という言葉が誕生しました。さらに、バブル期になると『24時間戦えますか』というCMコピーまで現れ、家族を犠牲しながらも、昼夜問わず、ひたすら企業のために働き詰めてきたことが「美徳」とされてきました。

    そうした企業文化が根強く残っている企業では、なかなか有給休暇を取得しづらい雰囲気があるのかもしれません。この『有給休暇取得義務化』はこれまでの文化に風穴を開ける大きなきっかけになるかもしれません。

    「休む」=「悪」ではなく、まずは「良」と捉えていきましょう。ずっと働き詰めではなく、少しでも休むことで普段触れることのない世界に目を向け、さらに仕事に励むことは効率的だと言えます。

    「ワークライフバランス」が叫ばれて久しいですが、ようやく日本にも「仕事」と「人生」のバランスを考える時期に来たと言っても過言ではありません。

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